「ちょっとそれは…大人の事情がありまして…」
コロナ禍をきっかけに一気に広がったリモートワークですが、いま、その働き方を見直す企業が増えています。
企業側にも、もちろん事情はあります。
- やっぱり出社のほうが管理しやすい
- オフィスが余っている
- 評価が難しい
うんうんうん。そうですよね。でも、ちょっと待ってください。
それは、本当に「リモートワークだから」なのでしょうか。
| この記事でわかること: ・リモートワークを廃止する企業が増えている背景 ・企業がなかなか口にしない、廃止の「大人の事情」 ・当社が「フルリモート」を続けられる理由 |
私たちは、リモートワークを「廃止」ではなく、「その先」を選びます。
よかったらこの記事で「その先」を覗いてみませんか?
リモートワークを廃止する企業は、なぜ増えているのか
「リモートワーク廃止」は、いま突然始まった現象ではありません。
ただ、コロナ禍をきっかけに一気に広がったリモートワークは、いま見直しの時期を迎えています。実際、導入率は少しずつ低下しています。
まずは、客観的なデータから現在の状況を見てみましょう。
きっかけは、緊急対応だった
総務省の「令和6年通信利用動向調査」によると、リモートワーク(テレワーク)を導入している企業の割合は47.3%でした。前年の49.9%から2.6ポイント低下しています。
導入率が上がり続けた時期は終わり、ここ数年は縮小・見直しの局面に入っている、というのが実態です。
そもそも、リモートワークが急速に広がったきっかけの一つが、新型コロナウイルス感染症への対応です。
同じ調査で、導入企業に目的を尋ねたところ、最も多かった回答は「新型コロナウイルス感染症への対応」で66.0%。次いで「勤務者のワークライフバランスの向上」「業務の効率性(生産性)の向上」と続きます。
つまり、多くの企業にとってリモートワークは、最初から時間をかけて設計された働き方だったわけではありません。
「まずは、会社に来なくても仕事を続けられるようにする」。
そんな緊急対応から始まった企業も少なくなかったのです。
だからこそ、社会状況が変わったあとに「この働き方をこれからも続けるべきか」と見直されるのも、ある意味では自然な流れなのかもしれません。
「廃止」という言葉だけを見ると、大きな方針転換のように感じますが、その背景には「もともと平時の働き方として設計されていなかった」という事情がある場合もあります。
「向いていない仕事」も、実はある
もう一つ、見逃せないのが「仕事との相性」です。
総務省の「令和6年通信利用動向調査」によると、テレワークを導入しておらず、導入予定もない企業にその理由を尋ねたところ、「テレワークに適した仕事がないから」という回答が77.2%と、最も高い割合を占めました。
すべての仕事が、リモートワークに向いているわけではありません。
たとえば、工場のライン作業や対面での接客、現場で複数人が一緒に作業する仕事などは、そもそも働く場所を自由に選ぶことが難しい仕事です。
また、コロナ禍では「できるかどうか」を十分に検討する時間がないまま、急いでリモートワークへ移行した企業もありました。
廃止が話題になる企業の中には、コロナ禍の勢いで一律に導入したものの、実際にはリモートワークに向かない業務が多かったケースもあるのかもしれません。
リモートワークを廃止する企業の「大人の事情」
ここからは、企業側がなかなか口にしない、もう少し踏み込んだ本音を見ていきます。
リモートワークを廃止する理由は、「仕事に向いていないから」だけではありません。
管理する側が、「見えない部下」に不安を感じる
パーソル総合研究所の「第十回・テレワークに関する調査」(2025年8月公開)によると、リモートワークに関する困りごとは全体的に減少傾向にある一方、「部下の仕事の様子がわからなくなった」という項目(上司のみが回答)だけは、ここ2年で増加傾向にあります。
リモートワークでは、隣の席に座っている部下の様子を、ふと確認することができません。忙しそうなのか、困っているのか、それとも手が止まっているのか。出社していれば何となく伝わっていた情報が、画面越しでは見えにくくなります。
もちろん、だからといって「リモートワークでは管理できない」という話ではありません。
ただ、これまで「同じ場所にいること」を前提にしてきた管理職にとっては、新しいマネジメント方法への切り替えが必要になります。
勤怠管理ツールを導入したり、細かな報告ルールを設けたりする方法もあります。
それでも、仕組みを一から整えるより、「みんなが同じ場所にいれば話が早い」と考える企業が出てくるのは、想像に難くありませんね。
払い続けているオフィス賃料を、無駄にしたくない
リモートワークの普及によって、オフィスを縮小したり、席数を減らしたりした企業がある一方で、これまで契約してきたオフィスをすぐに手放せるとは限りません。
すると、別の問題が生まれます。
「あれ、せっかくオフィスがあるのに、使われていないな?」
オフィスには賃料だけでなく、光熱費や設備費などのコストもかかります。
もちろん、オフィスを持つこと自体が悪いわけではありません。対面でのコミュニケーションや、集中して仕事をする場所として必要な企業もあります。
ただ、リモートワークによって出社人数が減れば、「この広さのオフィスは本当に必要なのか」という経営判断が必要になります。
そして逆に、出社を増やすのであれば、今度は席や設備が足りなくなる可能性もあります。
働き方を変えることは、会社の「場所」のコストにも影響するのです。
成果を「数字」で説明できないと、評価しづらい
もう一つ、リモートワークと相性が問われるのが「評価」です。
パーソルプロセス&テクノロジーの調査(2020年)では、リモートワークに合わせて人事評価の仕組みを変更した企業は1割に満たず、評価に対する不安を社員のおよそ半数が抱えているという結果が出ています。
ここで難しいのは、「仕事をしている時間」と「仕事の成果」が必ずしも同じではないことです。
出社していれば、少なくとも「会社に来て働いている」という状態は目に見えます。
一方、リモートワークでは、成果や進捗を別の方法で把握しなければなりません。
何を成果とするのか。
どのように評価するのか。
これまでの評価制度をそのまま使うことが難しくなれば、制度そのものを見直す必要があります。
その手間を考えたとき、「まずは出社に戻して、これまでのやり方に戻そう」と考える企業があっても不思議ではありません。
つまり、リモートワークを廃止する理由は、リモートワークそのものに問題があるからとは限りません。
これまでの会社の仕組みを、そのままリモートワークに持ち込もうとすると、どこかで無理が生じる。
そんなケースもあるのです。
それでも、Daiが「フルリモート」を続けられる理由
管理のしやすさや評価のしやすさを優先すれば、出社に戻すという判断も、企業としては合理的です。
それでも当社は、2020年7月から、出社を前提としないフルリモートを続けています。
全社の顔合わせは、朝会だけじゃない
当社には、毎朝のアサカイ(朝会)とは別に、全国のメンバーが顔を合わせる「GM(ジェネラルミーティング)」という場が、年に2回あります。
日々の業務連絡はアサカイ(朝会)。会社全体の方向性はGM。それぞれの役割を分けることで、普段は離れた場所で働きながらも、必要なタイミングでは全員が同じ場に集まれるようにしています。
「フルリモート=人と会わない」。
そんなイメージがあるかもしれません。
でも、当社が考えているのは「会わないこと」ではありません。
必要なときに、必要な形でつながること。
それが、当社にとってのフルリモートです。
当社がリモートワークを「コーラルワーク」と呼んでいる理由については、フルリモートのメリットとデメリットをまとめた記事で詳しく紹介しています。
世の中の動きを、みんなで追いかける
当社のアサカイ(朝会)では、その日のリーダーが、必ず日経新聞の記事を1つ取り上げるというルールがあります。各部署でピックアップされた記事は、「週刊Daiの目」という記事にもまとめられています。
リモートワークでは、「会社の中だけで仕事をしていると、世の中の動きから取り残されるのでは?」という心配もあるでしょう。
だからこそ、当社では日々の小さな習慣として、世の中の情報を共有しています。
一人が見つけたニュースを、みんなで知る。
そこから部署を越えて話題が生まれる。
離れた場所で働いていても、同じ情報を共有することはできます。
「見えないから管理する」のではなく、見えなくても仕事が進む仕組みを先につくる。
それが、当社の考え方です。
フルリモートの「その先」を実験する
当社では、「Coral Community(コーラルコミュニティ)制度」という新しい社内プロジェクトを始めました。
月6,000円の補助を使って、メンバーが好きな場所に足を運ぶ制度です。対象は「静かに一人で作業できる個室ブース」ではなく、コミュニティ型のコワーキングスペースなど、社外の人と偶然出会えそうな場所に限られています。
フルリモートという働き方を続けながら、人と人とのつながりをどうつくるのか。
「出社する」か「完全に一人で働く」か。
その二択ではない働き方を探るための取り組みです。
出社に戻すのではなく、フルリモートのまま、その先を考える。当社にとってリモートワークは、完成した制度ではありません。
これからも試しながら、育てていく働き方です。
まとめ
リモートワークを廃止する企業が増えている背景には、コロナ禍の緊急対応として始まった制度の見直しやオフィスコスト、評価のしやすさといった、企業側の「大人の事情」があります。どれも企業側から見れば、理解できる事情です。
ただ、その事情は、必ずしも働く人にとっての正解とは限りません。
当社は出社に戻すのではなく、フルリモートで働き続けるために、そうした仕組みのほうを変えてきました。
GM(ジェネラルミーティング)、日経新聞のピックアップ、Coral Community。
これらはすべて、「離れた場所で働いても、会社としてつながるにはどうすればいいか」を考えた結果です。
自分の働き方を、会社の「大人の事情」に委ねるのではなく、自分自身で選び直したい方は、当社の求人ページをのぞいてみてください。場所ではなく、成果で評価される働き方が、そこにあります。
リモートワークの「その先」で、あなたを待っています。
